探し物の物語。

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07

探し物の物語 7話








「レッド、それポケモンっ!!!!」
「え?」



硬い岩のような皮膚、そしてとがった角。
レッドがぶつかったのは、洞窟などによくいるポケモン、サイホーンだった。
サイホーンがのぞりと横に動き、通路に人が通れるスペースが出来ると、その隙間から<R>の文字がプリントされた黒服を着た男達が現れる。



「子どもがこんなところをうろついては駄目じゃないか。」
「お前等、ロケット団だなっ!!」



リーダー格だと思われる男は、食いかかるように叫んだレッドに気分を害したのか、わずかに片眉を上げて一睨みする。
その眼力は思わず後ずさりしてしまうほど鋭いものだった。



「ほう、我等の名前を知っているとは…何者だ?」
「答える必要はねえぜっ!!勝負っ!!」



サイホーンに対して、レッドはピカチュウをそのまま対戦相手として使用するつもりだ。
本来なら地面に電気の技は効かない。
そして地面の攻撃は電気タイプのポケモンにとって、致命的な一撃となる。
ピカチュウはすぐさまサイホーンの「岩おとし」によって、瓦礫の下敷きになってしまう。



「ピカチュウっ!」
「大丈夫だ。」



瓦礫に埋もれたピカチュウを助けに行こうとしたの腕を、レッドは掴んだまま離さない。
それどころか、余裕の笑みを浮かべて堂々と経っている。



「オレのピカチュウは…聞き分けは悪いが強いぜっ!!」



決して自力では脱出できないほどの瓦礫に埋もれていたというのに、ピカチュウは難なく瓦礫から飛び出すと、尻尾を使って石のツブテをサイホーンに投げつけた。
電撃を帯びた思わぬ攻撃はサイホーンの体に命中し、そのまま巨体が崩れ落ちる。
ロケット団の男は憎らしげに歯を食いしばるが、不意に口元に笑みを浮かべると、小さな注射器を取り出した。
一体何をするのだろう。
疑問に思って首を捻るの腰のボールが一つだけ大きくガタガタ震える。
それはイーブイが入ったボールだった。
ポケモンセンターのときもそうだったが、今日のイーブイはやけに怯えている。
今すぐボールから出して抱きしめてやりたかったが、敵の目の前でそんな隙を見せるわけにはいかない。
それでなくても「このイーブイはあまり人目につかせるな」と、カツラから注意を受けているのだ。
どうしてやることも出来ない状況の中、男は注射針をサイホーンの皮膚に深々と差し込んだ。
するとどうだろう。
今まで四足歩行だったサイホーンが突然立ち上がったではないか。
そして今までただのツノだったものがドリルに変わっている。
それは異常な「進化」だった。



「まさか、あたしのギャラドスにそれを…?」
「実験はそこらじゅうでやったからな。いちいち覚えちゃおれん!」



呆然と注射器を見て呟くカスミを男は笑いとばした。
大切なポケモンを弄ばされて怒らないトレーナーなどいない。
ギャラドスをおかしくされた元凶を目の当たりにしたカスミは怒りで我を忘れ、ヒトデマンを繰り出す。
ヒトデマンは水鉄砲をサイドンに食らわすが、男は余裕の表情でたかみの見物を決めている。
サイドンは水に弱い。それは確かなことで、現に目の前で水鉄砲を食らっているサイドンはあと少しで倒れそうだ。
後もう少し――――
自分のポケモンが瀕死になりかけた頃、ようやく男は指示を出した。



「つのドリルだ」



その言葉に、何故かは嫌な予感を抱いた。
決して戦況は悪くない。
むしろ勝ったも同然で、相手の攻撃は最後の悪あがきとしか思えない。
それなのに、何故こんなにも不安なのか。
その不安の原因はすぐ判明した。
ヒトデマンの水鉄砲がサイドンのツノの回転によって渦を巻き起こしたのだ。
一瞬ではあるが、それはすさまじい奔流だった。
水の流れに弾き飛ばされたカスミは、岩肌に叩きつけられて意識を失う。



「カスミっ!!!」
「レッド、危ないっ!!」
「っ…」



カスミに気を取られて前を見ていなかったレッドの体に、サイドンの尾が直撃した。
ミシ、と嫌な音がして、カスミ同様岩肌に叩き付けられて、意識を失う。
血こそ出ていないが、直撃を食らったときの音はあまりにもえぐかった。
相当なダメージを受けたはずだ。



「レッドっ!!カスミっ!!!」



どれだけ声をかけても、二人とも仲良く意識を失っておねんね状態だ。
必死になって二人の体を揺さぶるに、男とサイドンが近寄ってくる。



「残るはお前だけか」
「来ないで!来たら後悔させますよっ!」


強い眼差しで威嚇しても、男にはそれほどプレッシャーとなっていないのだろう。
軽く鼻で笑われるが、自分が馬鹿にされていることに不思議と腹はたたなかった。
カスミだけでなくレッドまでも倒れてしまった今、自分が何とかしなければならないのだ。
は男に気付かれないようにこっそりと左手を腰に伸ばした。
指先に触れるのは、冷たいモンスターボール。








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反撃開始〜!


2007/3/
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